ルート3776挑戦者の紹介 Part.7

投稿日:2024.01.10

今回は、今年還暦の記念として、フルマラソンとルート3776に挑戦された方にお話しを伺いました!

1. 簡単に自己紹介をお願いします。

普段は糖尿病を専門としている医師で熊本、延岡、日田と3か所の病院で診療に従事しています。2023年の誕生日に60歳となることを記念し、挑戦の年と捉え、2月にフルマラソン、そして9月に富士山登山ルート3776に単独で挑戦してみました。登山はまったく経験がない初心者なので、富士市からガイドマップを取り寄せ、事前に富士市交流観光課にも電話して相談し、9月3日に田子の浦みなと公園からスタートし、PICA表富士で1泊。9月4日に新7合目御来光山荘まで向かい1泊して、5日に登頂して須走5合目まで下山する2泊3日の行程としました。須走5合目からはバスでJR御殿場駅に向かいました。

2.ルート3776の挑戦の目的とお知りになったきっかけは何ですか?

実は高校生の頃に1度富士山に登ったことがあります。その時は普通に5合目まで車に乗せて行ってもらい、そこからグループで登りました。それ以来私は「富士山に登頂したことがある」というちょっとした自慢を心に秘めていました。そうしたところ2016年に開催されたある学会で「北の国から」などで有名な脚本家の倉本聰さんの講演会を聞く機会がありました。その講演で倉本さんが「この会場の中で富士山に登ったことがある人?」と呼びかけたので、私は自信を持って手を挙げました。会場の中に10名くらいいらっしゃったでしょうか。すると倉本さんが「では海抜0mから登った方はいますか?」と再び問うと、私も含め皆さん手を下ろしました。そこで倉本さんは「富士山3776m、駿河湾の水に手をつけて海抜0mから歩いて行かないと富士山3776mを登ったとは言えませんよね。」とおっしゃいました。それ以来、私の頭にずっと海抜0mからの富士山登山がこびり付いていました。ある時、友人の登山好きの先生から「富士市がそうしたキャンペーンをしていますよ」と聞いて、俄然挑戦する気が湧いてきました。

3.ルート3776の挑戦の中で最も記憶に残った瞬間は何ですか?

一番記憶に残ったことは、下山の須走ルートの慣れない砂走りの中、かなり疲れてきてヘトヘトになったとき、「このまま動けなくなったら死ぬかもしれない!」と思ったときです。私は学生の頃ラグビーをしていたし、少し前に人生初めてのフルマラソンに挑戦し完走しました。ラグビーだったら前後半合わせて80分戦えばノーサイドだし、フルマラソンなら制限時間7時間とかで走りきれなかったら後ろからバスが来て回収されるなど、時間がきたら自動的に終了します。でも登山はその日の目的地に辿り着くことができず、途中で日が暮れてしまったら命の危険すらあります。特に私はソロでの登山だったので何としてでも須走5合目、それもバスの時間までに辿り着かなくては!と力を振り絞りました。それだけに須走5合目に着いたときの達成感、喜びはひとしおでした。
あと推奨ルート上には、残念なことに結構ゴミが落ちています。ペットボトルやスナック類の包装、小さなプラスチックゴミなど。そうしたものを目の当たりにして、私は途中からゴミを拾いながら登って降りました。

4.富士市内でチャレンジ中に立ち寄ったレストランやお店はありますか?もしお立ち寄りいただいたようでしたら、思い出に残る場所はどこでしたか。

前泊した新富士駅前のホテルの横にあった酒屋さんがやっているレストラン「タストヴァン」は、酒屋さんだけあって地元の日本酒やクラフトビールが豊富で、安くて料理も美味しく、マスターやママさんもとても温かく迎えてくださり良かったです。ルートでも最後の方のコンビニ「ファミリーマート富士中野店」に寄って、スナックや飲料を買ったり、トイレを使わせてもらったり、飲食スペースもあったりでとても重要な休憩ポイントでした。

5.ルート3776で改善すべき点はありますか?率直に教えてください。

登山に関しては、分岐点などあちこち道路に富士山登山ルート3776の路面シートがあり、道に迷うことはほとんどありませんでした。ただ注意しなければならないのは、下山です。登山は下山してはじめて達成です。登山初挑戦の私は、登頂したとき喜びとか達成感はさほど湧かず、ひたすら下山のことばかり考えていました。ガイドマップにもう少し丁寧に下山の注意点や各下山ルートの特徴などが書かれていればと思いました。

6. 最後に、挑戦を終えてみて、他の挑戦者へ一言メッセージをお願いします!

とてもやりがいがある挑戦です。無事下山できたときの達成感、充実感は堪りません。ただ十分に装備や事前の体力作りなど準備をしていきましょう。気軽に挑戦すれば、ともすれば命の危険すらあります。交流観光課のスタッフさんはとても親切です。実際にルート3776に挑戦されたスタッフさんが自身の経験に基づきアドバイスしてくれます。あと公式ガイドマップがとても便利です。ルートに迷ったら事前に電話して相談するといいでしょう。スマホのマップやアプリもいいのですが、スマホに頼り過ぎるとバッテリー上がりが心配です。私は予備バッテリーも携行していきましたが、紙の公式ガイドマップを頼りに登りました。

かの有名な倉本聰さんの講演会で「ゼロから登る富士山」について触れていただいたなんて、びっくりです!倉本さんは、考え方を再度見直す例えとして、富士登山を挙げていただいたようです。多くの人の発想点として途中の5合目からが多いけれども、原点(海抜ゼロ)に戻って考えたらもっと新しい発想の仕方ができるはず!とおっしゃったようです。

また、こちらの挑戦者の方につきましては、ルートの途中からゴミ拾いをしながら登っていただいたとのことで、本当にありがたいことだと感じました。今年何人かの挑戦者の方から、ルート清掃をしながら登りたいというありがたいお声をお伺いし、ルート3776は皆さまの温かいご支援によって支えられているということを改めて実感しました。

ルート3776をお知りになったきっかけから細かな体験談まで、貴重な情報を本当にありがとうございました!